BitMEX(ビットメックス)のロスカットについて

BitMEX

ロスカットは損失が一定の水準に達した時に、さらなる損失を防ぐために行われる強制決済です。
レバレッジ取引が魅力的なBitMEXではロスカットを十分に理解しておくことが重要です。

今回はBitMEX独自のゼロカットシステムやロスカットの仕組みなどをご紹介します。

BitMEX(ビットメックス)のロスカットについて

ゼロカットシステムとは

ロスカットのご説明をする前にBitMEX独自の機能であるゼロカットシステムについて解説します。

ロスカットは一定の損失を出した場合、取引所が強制的に損失しているポジションを決済します。
この時、損失が証拠金を上回る時があります。つまり資産がマイナスになる場合です。
取引所によってはマイナスとなった資産の部分を請求してくる場合もありますが、BitMEXでは資産がマイナスにならない独自のゼロカットシステムを採用しています。

ゼロカットシステムの特徴

追証なし!
自己資金以上の損失なし!

BitMEXは最大100倍のレバレッジに対応していますが、『もし失敗して借金したらどうしよう』と不安になる人もいるかと思います。
実際に株やFXでは、突然の急騰・暴落などで資産がマイナスになる危険があると判断された場合は追加の証拠金(追証)が発生してしまうケースがあります。

しかし、BitMEXでは心配ありません。BitMEXでは残高がマイナスにならないようにするゼロカットシステムを採用。
自己資金以上の損失はないので残高がマイナスになったり、追証が発生することはありません。
BitMEXでは証拠金として保有しているBTC以上の損失は運営側が負担してくれます。

どうしてトレーダーの損失を運営が負担してくれるの?

BitMEXでは相場の急激な変化によってトレーダーが損失する可能性に備えて『保険基金制度』を用意しています。
もしトレーダーが証拠金以上の損失をしたマイナス部分を保険基金によってカバーします。
これがBitMEXがゼロカットシステムを採用できる理由となります。
具体的なゼロカットシステムの流れをご紹介します。

ゼロカットシステムの流れ

1. トレーダーが証拠金以上の損失が発生
2. ポジションが清算される(ロスカット)
3. 証拠金以上のマイナスが発生する
4. マイナス部分をBitMEXが補填する
5. BitMEXの保険基金からマイナス部分を補填する

なお、BitMEXが積み立てているは保険基金は公式サイトで確認ができます。
公式サイトの『契約』をクリックしてから『保険基金』をクリックすることで現在の保険基金を確認できます。

保険基金は1日ごとに記録されており、過去1,000日以上の積立金の確認ができます。

2019年8月時点でBitMEXの保険基金は30,000BTC(約300億円)の積立金があります。
かなりの大金が積立られていますので、相場の急激な変化が起こっても保険基金から建て替えられます。

保険基金をすこし分けてほしいぜ!
5BTC消えてもバレなさそうだな!

ロスカットとは

ロスカットとは自分が持っているポジションの解消または清算する仕組みです。
ロスカットは損失が一定以上の水準に達した場合にさらなる損失の拡大を防ぐために発生します。
ロスカットが発生すると取引所が強制的に決済をします。

ロスカットのよくある例として損失が発生すると損切りの判断ができずついついポジションを維持しようとしてしまいます。
また、自分が予想している相場に戻ると信じてポジションを維持することもあります。
その後も損切りの判断をせず損失に対して対処を怠っていると発生するのがロスカットです。

ロスカットは強制決済だ!
ロスカットされるとかなり落ち込むぜ…

ゼロカットシステムとロスカットの違い

BitMEXをはじめた初心者のトレーダーの方で『証拠金がゼロになるまでロスカットはされない!』っと言う考えを持つ人がいるのですが、この考えは誤りです。

ゼロカットシステムは証拠金以上の損失はBitMEXが対応するシステムであって、ロスカットは一定の水準を超えた損失が発生した時に行われる強制決済です。

この『一定の水準の損失』と言うにはルールがあります。

BitMEXのロスカットの基準・タイミング

ロスカットには基準が決まっており、レバレッジに応じて変化します。
ロスカットが行われるタイミングをちゃんと把握しておかないと、気づいたらロスカットされている場合もあります。
では、ロスカットのタイミングとは具体的にいつなのでしょうか?

ロスカットされる基準(無期限契約XBTUSD)

ロスカットライン:100% – (証拠金維持率(0.5%) × レバレッジ倍率)
※分かりやすくするのに簡易的な計算式にしています。

上記はXBTUSDの無期限契約でのロスカットの基準値です。
分かりやすくする為に簡易的な計算式にしていますが、これで大体のロスカットラインを見極められます。
例えば、レバレッジ1倍の買いポジションを持っていたとします。
この場合、最大99.5%まで損失を出すとロスカットされます。
※レバレッジ1倍の場合、細かい数字を言うと99.48%でロスカットされます。
レバレッジ2倍の場合は99%の損失でロスカットします。
100倍の場合は49%の損失でロスカットされます。
下記はロスカットラインの早見表になります。

レバレッジロスカットライン損失率(%)ROE(%)
1倍99.48%-99.48%-99.48%
2倍99%-49.5%-99%
3倍98.46%-32.82%-98.46%
5倍97.45%-19.49%-97.45%
10倍94.90%-9.49%-94.90%
25倍87.25%-3.49%-87.25%
50倍74.50%-1.49%-74.50%
100倍49.00%-0.49%-49.00%

早見表を見ていると気づく方がいると思いますが、レバレッジの倍率が高くなるほどロスカットされるタイミングが早くなります。
また、ポジンションに対していくら損失をしたか計算した『損失率(%)』を見るとレバレッジが高いほどに損失率が小さくなっています。
例えばレバレッジ50倍の場合だとビットコインを買った後に1.49%下がったタイミングでロスカットされます。
100倍だと0.49%下がるだけでロスカットされるので、最悪ポジションを持って1分以内にロスカットされる可能性も十分にあります。

50倍や100倍のハイレバレッジ取引は大きな利益を得られるチャンスもありますが、ロスカットされる可能性が非常に高いハイリスクな面もあります。
BitMEXに慣れるまでは2~5倍の低いレバレッジ取引で利益を出せるように頑張りましょう。

酔っていても100倍レバはやめとけ!
俺は酒場で何度もロスカットされたぜ!

ロスカットの具体的な例

ロスカットの理解を深めるために具体的な例を紹介します。
今回はレバレッジ10倍を使ったトレーダーのロスカット例をご紹介します。

レバレッジ10倍のロスカット例

契約:無期限契約XBTUSD
証拠金:0.01BTC

参入価格:10,000USD
レバレッジ:10倍
ポジション:買い(ロング)
ポジション数量:990枚(約レバレッジ10倍相当)
ロスカットライン:95%
( 100% – 5% ( 証拠金維持率 ( 0.5% ) × レバレッジ ( 10倍 ) ) )

このトレーダーは10,000USDで990枚のロングポジションを注文して約定しました。
レバレッジはおおよそ10倍であり、約95%まで損失が発生するとロスカットされます。
この場合、ロスカットはどのタイミングで発生するか計算してみます。
ロスカットを計算する為にさきほどの早見表を見てみましょう。

レバレッジロスカットライン損失率(%)ROE(%)
1倍99.48%-99.48%-99.48%
5倍97.45%-19.49%-97.45%
10倍94.90%-9.49%-94.90%
50倍74.50%-1.49%-74.50%
100倍49.00%-0.49%-49.00%

レバレッジ10倍の場合、参入価格に対して-9.49%まで来るとロスカットになります。
なお、ロスカットの基準値はXBT(BTC)建てなので若干計算数値がズレます。
今回の場合だとBTCが9133USDまで下落するとロスカットされます。

100倍の場合も考えてみましょう。

レバレッジ100倍のロスカット例

契約:無期限契約XBTUSD
証拠金:0.01BTC

参入価格:10,000USD
レバレッジ:100倍
ポジション:買い(ロング)
ポジション数量:8,700枚(約レバレッジ100倍相当)
ロスカットライン:50%
( 100% – 50% ( 証拠金維持率 ( 0.5% ) × レバレッジ ( 100倍 ) ) )

100倍の場合だとロスカットラインは約50%です。
金額としてはBTCが約9951USDまで下落するとロスカットされます。
100倍のレバレッジは10倍と比べてロスカットまでの基準値が高く、ロスカットされる可能性が非常に高いです。

ロスカットを回避する方法

ロスカットが発生すると取引所による強制決済が起こり、強制決済後に証拠金から損失分が失われます。
もし証拠金以上の損失が発生した場合は証拠金はゼロとなり、証拠金以上の損失はBitMEXのゼロカットシステムが対応してくれます。
ロスカットで失われる損失額はレバレッジ倍率にもよりますが50%以上の損失を出すことになるので、証拠金が半分以上消えます。

ロスカットになると損失額がとても大きい為、再びトレードでお金を取り戻すのにはとても時間が掛かります。
できる限りロスカットは避けるべきであり、ロスカットが起こらないような回避方法・戦略が必要になります。

ロスカットを回避するポイントは2つです。

ロスカットを回避するポイント

損切りをする注文をかけておく
高いレバレッジを掛けない

損切りをする注文をかけておく

損切りはロスカットを回避する上で最も重要です。
人間の心理として、損失の精神的ダメージは利益の約3倍と言われています。
1万円の損失は3万円相当の損失と同じぐらいの精神的ダメージを受けると言うことですね。
そのため、大きな損失をするとかなりの精神的ダメージを負ってしまいます。
損切りは早め早めの行動が重要です。

さて、『具体的にどれぐらいで損切りをすれば?』と言う話になりますが、チャート分析ができる人であれば節目節目で損切りラインを入れるのが良いです。
例えばビットコインが8,000USDから13,000USDまで上がり、9,500USDを天井に下げ始めたとします。
この時8,00USDまで下がり、再び上昇の兆しがあるとしましょう。
これは8,000USDがトレーダーの心理的な下支え(サポートライン)として考えることができます。
また、9,500USD付近はトレーダーの心理的な抵抗線(レジスタンスライン)として考えることができます。

ビットコインのチャートを見ながら具体的な例を紹介しましょう。

2019年6月~9月のビットコイン(日足)

上記の画像は2019年6月~9月のビットコインのチャート(日足)です。
9,000USDから上昇し始め、13,000USDを天井にボックス相場になったチャートです。
サポートラインは9,000USD~9,300USD、レジスタンスラインは12,500~13,000USDと考えられます。

もし上記の画像でロングで入る場合、参入価格は9,000~9,300USD、出口価格は12,000~13,000USDが理想的です。
損切りをするのであればサポートラインが割れる9,000USD~8,900USDが良いでしょう。
このようにサポートラインを節目として考えて損切り注文を入れておきます。

この他に、トレーダーによっては参入価格から10~20%以上の損失をしたら損切りをする人もいます。
損切りには一定のルールを決めてトレードすることで安定することもありますので、今回の例を参考にしながら自分のルールを確立するのが本当は一番オススメな方法です。

慣れないうちは価格の値動きから『この価格を割り込むと危ないな』と言える場所を探して損切り注文を出すのが理想です。
なお、これはあくまで個人的な経験則として覚えておいて欲しいのですがビットコインに関しては皆が損切りしそうな価格帯で損切りしておいた方が良いです。
2018年11月のビットコインの大暴落などは心理的にはたらく価格帯で損切りをしないと大きな損失を生む結果となりました。
生き抜く上でも損切りのタイミングは本当に重要です。

誰でも一度は大きな損失を出すもんだ
だが、再起不能な損失は出すなよ!

高いレバレッジを掛けない

BitMEXは最大100倍のレバレッジ倍率をかけることができますが、さきほど説明したように高いレバレッジはハイリスクハイリターンの世界です。

もしビットコインが年間通して5~10%しか動かない値動きの激しくない仮想通貨であればレバレッジを高めにしても良いかもしれません。
しかし、ビットコインは激しい時は1日で10~20%以上動くこともあれば、1ヶ月で50%前後動くこともある仮想通貨です。
高いレバレッジを掛けるとロスカットになる可能性が高いです。
レバレッジ取引に慣れない間は2~5倍の低いレバレッジで取引するようにしましょう。

損益計算ツールを活用しよう

BitMEXでは利益や損失をシュミレーションする便利なツール『損益計算ツール』があります。
目標の価格を決めてどれぐらいの利益がでるか計算したり、いくらぐらいでロスカットされるかなどを計算することもできます。
損益計算ツールを使うことでレバレッジの倍率を考えたり、証拠金の資産管理をより効率的にできます。
損益計算ツールには以下のような機能があります。

損益計算ツールの機能

利益/損失ツール・・・利益や損失など取引の総合的な計算を行う
目標価格ツール・・・目標とした利益を達成する為の計算を行う
清算価格ツール・・・清算(ロスカット)についての計算を行う

損益計算ツールの使い方について説明します。

損益計算ツールの使い方

損益計算ツールを使う時は注文画面の右上にある電卓のアイコンをクリックします。


損益計算ツールでは『利益/損失』『目標価格』『清算価格』の3つのタブがあります。

次に各項目についての使い方をご紹介します。

利益/損失(Profit/Loss)ツール

利益/損失ツールの各項目

1. ポジションをロングにするかショートにするか
2. 購入または売却予定の数量
3. いくらからポジションを持つか
4. いくらからポジションを手仕舞いするか
5. レバレッジの倍率


利益/損失ツールは『サイド』『数量』『参入価格』『出口価格』『レバレッジ』からどのくらいの利益・損益が出るのか、取引に対するリスクリワード(利益と損失の割合)をシミュレートできます。
参考に利益/損失ツールの使用例を一つご紹介します

利益/損失ツールの使用例

ポジション:ロング
レバレッジ倍率:5倍
数量:1,000枚
参入価格:10,225USD
出口価格:10,500USD

上記を利益/損失ツールで計算すると利益は最終的に13.09%の自己資本利益率(ROE)になります。

なお、BitMEXの利益/損益計算ツールではUSDの変化率ではなく『USDに応じたXBTの変化率』が用いられています。

目標価格(Target Price)ツール

目標価格ツールの各項目

1. ポジションをロングにするかショートにするか
2. レバレッジの倍率
3. いくらからポジションを持つか
4. 純資本からどのくらいの割合の利益を出せるのか

目標価格ツールでは目標とする自己資本利益率(ROE)を達成するためには、どのくらいの価格の時に売買すべきかを示す『目標価格』と『利益/損失』の割合を計算してくれます。
『この金額で購入した場合、どのぐらいの利益になるのだろう』と考えて、指定した利益率を達成するための指標を計算するために使用されます。

上記の画像ではレバレッジ50倍で取引をした場合、2%の利益で元手資金を2倍をシミュレートした例です。
まさにハイリスクハイリターンらしいROEとなっています。

精算価格(Liquidation Price)ツール

精算価格ツールの各項目

1. ポジションをロングにするかショートにするか
2. 分離マージン・クロスマージンで証拠金を設定
3. 購入または売却予定の数量
4. いくらからポジションを持つか
5. レバレッジまたは証拠金の設定

精算価格ツールでは『清算価格』というロスカットされる価格を計算してくれます。
なお、⑤は②で分離マージンを選ぶかクロスマージンを選ぶかで名称が変わります。
分離マージンの場合は希望するレバレッジ倍率、クロスマージンは指定するウォレット残高から精算価格をシミュレートしてくれます。

参考例として分離マージンでの清算価格についてご紹介します。

清算価格の使用例

ポジション:ロング
証拠金:分離マージン
参入価格:10,225USD
レバレッジ:3倍

分離マージンの場合、レバレッジに応じて証拠金を自動的に設定するのでポジションの数量は設定に影響がありません。
クロスマージンの場合はポジションの数量によってレバレッジが変動します。

損益計算を利用したロスカット回避例

損益計算を使った具体的なロスカット回避例をご紹介します。
あなたはレバレッジ3倍か5倍でロングのポジションを持とうか考えています。
まずはロスカットがどのぐらいのラインになるか清算価格ツールで計算します。

清算価格ツールを使ったロスカット回避例

ポジション:ロング
証拠金:分離マージン
参入価格:10,000USD
レバレッジ:3倍または5倍

3倍の場合は、清算価格が7,530USDでした。

5倍の場合は、清算価格が8,370USDでした。

どちらも低レバレッジではありますが、レバレッジ3倍と5倍では800USD以上の清算価格差があります。
低いレバレッジでも清算価格は必ず計算して、ストップ注文をどこら辺に入れるか考えましょう。

まとめ

今回はBitMEXのロスカットの仕組みについてご紹介しました。
ロスカットの他にも損益計算ツールの使い方などBitMEXで利用できる便利なツールもご紹介しました。
ロスカットの仕組みを理解出来れば、どのタイミングで損切りをするかレバレッジをどうするかなどトレードの戦略をより具体的にできます。

ディフェンシブな資産管理方法を覚えて、あなたに合った損切りルールを確立して行きましょう。

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公式サイト

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