BitMEXでは最大100倍のレバレッジ取引が可能です。
少ないお金で大きな利益を得る事ができるレバレッジ取引ですが注意点もあります。
今回はBitMEXでレバレッジ取引の特徴や注意点を説明します。
BitMEXのレバレッジを理解しよう
レバレッジ取引とは
レバレッジ取引とは証拠金に倍率をかける取引方法です。
BitMEXでのレバレッジ取引では、証拠金としてビットコイン(BTC)を使います。
BitMEXでは証拠金であるBTCに対して倍率をかけてレバレッジ取引ができます。
レバレッジ取引のレバレッジとは『てこの原理』から来ており、少ない金額で大きな金額を動かすことができます。
BitMEXでは例えば1BTCを証拠金として、5倍のレバレッジをかけるて5BTCでレバレッジ取引ができます。
BitMEXのレバレッジ取引の特徴
証拠金はビットコイン(BTC)のみ
レバレッジは最大100倍まで対応
BitMEX独自のシステム『ゼロカットシステム』を採用
証拠金はビットコイン(BTC)のみ
証拠金はすべてビットコイン建てで預託されます。つまり、ビットコインのみを使ってこの契約をロング/ショートすることが可能です。 XBTUSD 契約の特徴は、最大レバレッジが 100 倍である点です。
例えば、100 ビットコイン相当の契約を購入する場合は、1 ビットコインの 当初証拠金 のみが必要です。
BitMEXは日本円や米ドルなどの取り扱いがなく、BitMEXへの入金はビットコイン(BTC)のみとなります。
そのため、BitMEXではBTCを証拠金として使いレバレッジ取引を行います。
イーサリアム(ETH)やリップル(XRP)のレバレッジ取引をする際にもBTCが証拠金となります。
国内でこのようなデリバティブ取引の仮想通貨取引所はないので、やや特殊な取引所と言えます。

最初は戸惑うかもしれない!
だが、慣れたら便利な取引所だ!
レバレッジは最大100倍まで対応
ビットコイン(XBT) | 100倍 |
カルダノ(ADA) | 20倍 |
ビットコインキャッシュ(BCH) | 20倍 |
イオス(EOS) | 20倍 |
イーサリアム(ETH) | 50倍 |
ライトコイン(LTC) | 33倍 |
トロン(TRX) | 20倍 |
リップル(XRP) | 20倍 |
BitMEXではビットコインが最大100倍のレバレッジに対応。
アルトコインは最大20~50倍のレバレッジをかけることができます。
BitMEXの豊富なアルトコインのロング・ショートにレバレッジにかけられる点が魅力的です。
追証なしのゼロカットシステムを採用
追証なし!
自己資金以上の損失なし!
BitMEXは最大100倍のレバレッジに対応していますが、『もし失敗して借金したらどうしよう』と不安になる人もいるかと思います。
実際に株やFXでは、突然の急騰・暴落などで資産がマイナスになる危険があると判断された場合は追加の証拠金(追証)が発生してしまうケースがあります。
しかし、BitMEXでは心配ありません。BitMEXでは残高がマイナスにならないようにするゼロカットシステムを採用。
自己資金以上の損失はないので残高がマイナスになったり、追証が発生することはありません。
BitMEXでは証拠金として保有しているBTC以上の損失は運営側が負担してくれます。
どうしてトレーダーの損失を運営が負担してくれるの?
BitMEXでは相場の急激な変化によってトレーダーが損失する可能性に備えて『保険基金制度』を用意しています。
もしトレーダーが証拠金以上の損失をしたマイナス部分を保険基金によってカバーします。
これがBitMEXがゼロカットシステムを採用できる理由となります。
具体的なゼロカットシステムの流れをご紹介します。
1. トレーダーが証拠金以上の損失が発生
2. ポジションが清算される(ロスカット)
3. 証拠金以上のマイナスが発生する
4. マイナス部分をBitMEXが補填する
5. BitMEXの保険基金からマイナス部分を補填する
なお、BitMEXが積み立てているは保険基金は公式サイトで確認ができます。
公式サイトの『契約』をクリックしてから『保険基金』をクリックすることで現在の保険基金を確認できます。
保険基金は1日ごとに記録されており、過去1,000日以上の積立金の確認ができます。
2019年8月時点でBitMEXの保険基金は30,000BTC(約300億円)の積立金があります。
かなりの大金が積立られていますので、相場の急激な変化が起こっても保険基金から建て替えられます。

保険基金をすこし分けてほしいぜ!
5BTC消えてもバレなさそうだな!
レバレッジ取引のメリット・デメリット
少ないお金(BTC)で大きな利益が期待できる
高いレバッジは損失額も高くなる
長期間の取引には向かない
少額のお金で大きな利益を得ることができる
レバレッジ取引は少ないお金で大きな取引ができ、少額取引でも大きなチャンスを得られます。
例えばレバレッジを掛けない(レバレッジ1倍)の取引で1万円の利益があったとしましょう。
もしレバレッジを掛けた場合は利益はより大きくなります。
レバレッジ1倍の利益:1万円 × 1倍 = 約1万円
レバレッジ2倍の利益:1万円 × 2倍 = 約2万円
レバレッジ5倍の利益:1万円 × 5倍 = 約5万円
※実際の取引では手数料・資金調達などで利益は若干減ります。
このようにレバレッジ取引は少額取引でも大きなチャンスを掴むことができるのがメリットになります。
しかし、高いレバレッジで損失を出すと大きな損失が出る可能性もあります。
BitMEXは最大100倍のレバレッジ取引が可能ですが、慣れないうちは2~5倍までの低レバレッジを使いましょう。
失敗すると損失の額が大きい
さきほど説明したように、レバレッジ取引では大きなチャンスを掴むことができますが、失敗した場合の損失も大きくなります。
10倍や20倍の高いレバレッジを掛けると利益は大きくなる一方で、失敗した場合の損失額も大きくなります。
とくに高いレバレッジで注意したいのが、清算(ロスカット)です。
一定水準の損失を出すと取引所が現在のポジションを強制的に清算します。
一定の損失までの価格を清算価格と呼び、清算価格になると取引所が強制的にポジションを清算します。
例えば参入価格が10,000USDの場合の清算価格をご紹介します。
レバレッジ3倍のロスカット:7,528USD
レバレッジ20倍のロスカット:9,569USD
清算価格が参入価格と近いほどにトレードのリスクが高まります。
そのため、相場の急激な変化がある場合、高いレバレッジでは清算される可能性があります。
一方で低いレバレッジであれば清算前に自らの判断で損失を抑えられる可能性があります。
長期の取引には向かない
レバレッジ取引は1~3カ月の目線でトレードをする中長期のトレードに適しています。
また、1日に何度も取引をするデイトレードにも向いています。
一方で1年や2年単位の長期に渡るポジションを持つのには向いていません。
理由として資金調達費用(ポジション維持費)が掛かるからです。
資金調達費用とは
長期で取引をする場合は無期限契約のBTCまたはETHを利用する事になります。
無期限契約では資金調達と言うポジションの維持費用が発生します。
資金調達は8時間毎に1回、1日3回発生します。
資金調達は8時間毎に変動しており、資金調達率として取引画面に表示されています。
資金調達率は基本的には0.01%で上下しますが最大は-0.375%~0.375%になります。
出来高が急激に増えたり、価格の急騰・急落で資金調達率は変化しますので確認は怠らないようにしましょう。
下記は資金調達についての表です。
資金調達率 | 基本 0.01% 最大 -0.375% ~ 0.375% |
調達発生時刻 | 8時間毎 5時, 13時, 21時 |
なぜ長期の取引に向かないのか
例えば1日0.03%の資金調達率が発生して、それを30日間支払う場合は0.9%になります。
これを1年間支払う場合はおおよそ10%の支払いになります。
また、資金調達はポジションに応じて支払う必要があるのでレバレッジを掛けているとより支払う金額が増えます。
レバレッジ2倍の場合であれば1年間でおおよそ20%の支払いをする可能性があります。
もちろん、資金調達率は変動するので支払額は少なくなる可能性もありますが、長期で取引に向かないことに変わりはありません。
例外として2018年は1月から12月末までひたすらビットコインをショートしていれば儲かる1年間でした。
こういう時はBitMEXで長期トレードをしていれば良かったと言えます。

もし分かってたら俺もフルレバショートだったよ
長期で無期限契約を利用すると利益のほとんどが資金調達で消えてしまう可能性があります。
その為、長期での取引をする場合はBTCやETHの現物を購入しておくのがオススメです。
BitMEXでレバレッジを使う方法
BitMEXでレバレッジをかけるには注文画面にある赤枠の部分を操作します。
BitMEXのレバレッジの設定はスライダー部分をスライドさせることでレバレッジの倍率を好きな値に設定できます。
細かいレバレッジの調整をしたい場合は数値を入力して調整することもできます。
BitMEXでレバレッジを変更する方法
BitMEXではレバレッジを途中で変更することができます。
例えば3倍のレバレッジを5倍や10倍に変更することができます。
変更するにはレバレッジのスライドバーを『3x』から『5x』『10x』にスライドするかクリックすることで変更できます。
レバレッジの倍率を低くする
さきほどの例では3倍からレバレッジを5倍や10倍に倍率を高くする変更でしたが、レバレッジは低くすることもできます。
レバレッジの倍率を低くする事で清算価格を引き下げ、ポジションに余裕ができます。
例えばレバレッジを10倍に設定しているものの、3倍相当のポジションしか持ってない場合は10倍から5倍や3倍にレバレッジを変更できます。
このようにレバレッジを下げる事で清算価格を引き下げる事ができます。
10倍から3倍に変更すると清算価格が9280USD→7624USD、10倍から5倍は9248USD→8475USDに清算価格が変更になります。
低いレバレッジに変更するメリットは清算価格の引き下げによってポジションに余裕が持てる事です。
レバレッジを変更できない時もある
レバレッジは途中からでも変更は可能ですが、途中変更できない時もあります。
例えばレバレッジ3倍相当のポジションを持っている場合にレバレッジを1倍や2倍に変更することはできません。
もし上記のように3倍相当のレバレッジを掛けているのにレバレッジを2倍や1倍に変更しようとすると警告が出ます。
警告が出る場合はポジションを減らしたり証拠金を増やす必要があります。
高いレバレッジを掛けていて不安になったりした場合はポジションを減らしましょう。
クロスマージンと分離マージンの違い
BitMEXでは『クロスマージン』と『分離マージン』という二つの証拠金のかけ方があります。
クロスマージン
クロスマージンは全ての資金を証拠金として扱うレバレッジ取引です。
もしBitMEXに1万円分のBTCを入金していた場合、クロスマージンでは全額を証拠金として使います。
1万円で最大100万円(100倍)のレバレッジ取引ができます。
利益も大きいですが、失敗した場合は全額消える可能性もあるのがクロスマージンの特徴です。
分離マージン
分離マージンでは保有している一部の資金を証拠金として使います。
上記の画像のようにレバレッジをあらかじめ決めておき、レバレッジに応じて証拠金の一部を資金として扱います。
分離マージンは全額を証拠金として使うクロスマージンよりもリスクが少ないです。
損失が出ても資金全体の一部しか消えないのが分離マージンのメリットです。
はじめてBitMEXなどのレバレッジ取引をするユーザーにはこの分離マージンがオススメです。
慣れてからクロスマージンを使い始めるほうがいいです。
損益計算ツールを活用しよう
BitMEXでは利益や損失をシュミレーションする便利なツール『損益計算ツール』があります。
目標の価格を決めてどれぐらいの利益がでるか計算したり、いくらぐらいでロスカットされるかなどを計算することもできます。
損益計算ツールを使う事でレバレッジの資産管理をより効率的にできますのでぜひ使い慣れておきましょう。
損益計算ツールには以下のような機能があります。
利益/損失ツール・・・利益や損失など取引の総合的な計算を行う
目標価格ツール・・・目標とした利益を達成する為の計算を行う
清算価格ツール・・・清算(ロスカット)についての計算を行う
ツールの見方・使い方について説明します。
損益計算ツールの見方
損益計算ツールを使う時は注文画面の右上にある電卓のアイコンをクリックします。
損益計算ツールでは『利益/損失』『目標価格』『清算価格』の3つのタブがあります。
次に各項目についての使い方をご紹介します。
利益/損失ツール
利益/損失ツールは『サイド』『数量』『参入価格』『出口価格』『レバレッジ』からどのくらいの損益が出るかを計算するツールです。
①サイド・・・ポジションをロングにするかショートにするか
②数量・・・購入または売却予定の数量
③参入価格・・・いくらからポジションを持つか
④出口価格・・・いくらからポジションを手仕舞いするか
⑤レバレッジ・・・レバレッジの倍率
目標価格ツール
目標価格ツールでは目標とする自己資本利益率(ROE)を達成するためには、どのくらいの価格の時に売買すべきかを示す『目標価格』と『利益/損失』の割合を計算してくれます。
①サイド・・・ポジションをロングにするかショートにするか
②レバレッジ・・・レバレッジの倍率
③参入価格・・・いくらからポジションを持つか
④ROE・・・純資本からどのくらいの割合の利益を出したいか
精算価格ツール
精算価格ツールでは『清算価格』というロスカットされる価格を計算してくれます。
①サイド・・・ポジションをロングにするかショートにするか
②証拠金・・・『分離』を選ぶと分離マージン、『クロス』を選ぶとクロスマージンで証拠金を設定
③数量・・・購入または売却予定の数量
④参入価格・・・いくらからポジションを持つか
⑤ウォレットorレバレッジ
証拠金をクロスマージンにしている場合はウォレット。
分離マージンにしている場合にはレバレッジの値を入力する必要があります。
ウォレット・・・現在のウォレットの残高
レバレッジ・・・レバレッジの倍率
損益計算ツールの利用例
次に損益計算ツールの利用例を示したいと思います。
具体例としてとして以下のようなケースをあげたいと思います。
証拠金 0.1BTC ※日本円にして約10万円
参入価格 10,000USD
出口価格 10,300USD
持つ予定のポジション ロング
今回の例では
2. 利益または損失はどれぐらいになるか
3. 損切りりの価格となる精算価格はいくらになるか
以上のことを調べてみたいと思います。
ポジションの数量・利益や損失については利益/損失ツール、清算に関しては精算価格ツールで計算してみたいと思います。
なお、レバレッジが1倍の時の数量・利益・精算価格・ROEは以下のようになっています。
持てる数量 | 利益/損失 | 清算価格 | ROE |
998USD | 0.029XBT | 5,013USD | 2.91% |
利益/損失ツールを使った利益やポジションの数量計算
利益/損失ツールを使う事でレバレッジを掛けた時のおおよその最大数量と利益が計算できます。
レバレッジを2倍にした時は最大1994枚のポジションと0.0058BTCの利益。
3倍では最大2985枚のポジションと0.0086BTCの利益になります。
精算価格ツールを使った清算についてのシミュレーション
清算価格ツールを使う事で清算(ロスカット)される価格を具体的に計算できます。
清算価格を使う場合は分離マージンかクロスマージンか選べますが今回は分離マージンを使います。
レバレッジを2倍にしてポジションを最大持つ場合の精算価格は6,689.5USDです。
3倍にしてポジションを最大持つ場合の精算価格は7,529USDになります。
低レバレッジでもシミュレーションは必ずしよう
今回は2~3倍の具体的な損益計算をしてみました。
当たり前ですがレバレッジを高くすれば持てるポジションの数量や利益は高くなります。
しかし、清算の価格が参入価格に近くなってしまう為、リスクが高くなります。
今回は仮に3倍でトレードしても清算は7,500USD前後なのですぐには清算されません。
低レバレッジだと利益はそこそこになるかも知れませんが、ポジションへの不安が減ります。
よくある事なのですが、高いレバレッジと大きなポジションを持つと不安が出て来て精神が落ち着きません。
トレードでは冷静であること、精神を落ち着かせてトレードすることが重要です。
初心者のトレーダーの方はまず2~5倍のレバレッジでも損益計算を必ずしましょう。
参入価格や出口価格などを決める事も大事です。
ポジションの持てる最大数量が分かれば何度か分けて取引することも必要です。
このように準備をしながらトレードを開始するのが一番大事な事になります。

買う前も売る前も準備が大事だ!
自分の思った方向へ相場が行かなければ損切りだ!
まとめ
レバレッジ取引は利益を増やすことができますが、損失を増やす可能性もあります。
BitMEXでは便利な損益計算ツールがあるので、参入価格と出口価格を決めて利益や損失をシミュレーションをしましょう。
他にも清算はどのぐらい下がると行われてしまうのか、持てるポジションの最大はどれぐらいなども考えるべきです。
レバレッジ取引の仕組みを理解することでトレードを有利にさせることが出来ます。
レバレッジ取引は魅力的ではありますが計画的に利用しましょう。
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